2007年度
「福祉国家の歴史と現在」

新潟大学法学部「特殊講義(戦後政治)」
早稲田大学政治経済学部「国際政治経済研究」


シラバス  参考文献   質疑応答(要パスワード)

シラバス

[概要]

20世紀の先進諸国の政治経済体制を「福祉国家」を軸に考察します。世界恐慌、世界大戦など「19世紀文明の破局」を経験した自由民主主義諸国は、第二次大戦以降、福祉国家を基礎として発展を遂げました。しかし1980年以降、この体制はどの国においても大きな変革を迫られています。その背後にはグローバル化など共通の要因が指摘される一方で、具体的な再編のあり方はきわめて多様です。この授業では、歴史学と政治経済学のアプローチを組み合わせ、日本、イギリス、ドイツ、フランス、アメリカ、スウェーデンを比較しながら、それぞれの国がどのような理念の下で福祉国家を形成し、現在どのような形で再編を進めているのかを検討します。

[到達目標]

(1)各国の政治経済体制の特徴を、歴史的背景を含めて理解すること。
(2)現代福祉国家の抱える諸課題と各国の対応を、統一的な視座の下に把握すること。
(3)日本の今後の針路について自分なりの意見を持つこと。

[受講要件等]

2年次までの政治系基礎科目および「政治過程論」を履修済みであれば、理解が容易になると思います。

[履修上の注意]

毎回B6版の小ペーパーを配布しますので、疑問点や意見を書いて提出してください。
日々の国内外のニュースによく目を配り、講義内容との対応を考えてみてください。

[授業計画]

T福祉国家原論
  1-1 福祉国家とは何か
  1-2 福祉国家の分析枠組み

U福祉国家の形成
  2-1 自由主義から福祉国家へ (社会保険、世界恐慌、第二次大戦)
  2-2 福祉国家の形成@(イギリス、アメリカ)
  2-3 福祉国家の形成A(スウェーデン、ドイツ、フランス)
  2-4 日本の福祉国家形成

V福祉国家の危機と再編
  3-1 黄金の30年から福祉国家の危機へ   
  3-2 福祉国家の再編@(新自由主義的改革)
  3-3 福祉国家の再編A(社会民主主義の刷新)
  3-4 福祉国家の再編B(連帯の再構築)
  3-5 日本の福祉国家再編

W福祉国家のゆくえ
  4-1 今後の展望
  4-2 国際福祉レジームの展開 / まとめ

[成績評価の方法と基準]

期末試験(100%)による相対評価。試験はキーワード説明と論述問題から成る。

[使用テキスト]

毎回レジュメを配布します。
なお、一冊で講義内容をカバーする教科書はありません。詳しい参考文献リストを配布しますので、講義期間中にできるだけ多くの文献に目を通すようにしてください。

[参考文献]

新川・井戸・宮本・眞柄『比較政治経済学』有斐閣アルマ、2004年
エスピン=アンデルセン『福祉資本主義の三つの世界―比較福祉国家の理論と動態』ミネルヴァ書房、2001年
広井良典『日本の社会保障』岩波新書、1999年
新川敏光『日本型福祉レジームの発展と変容』ミネルヴァ書房、2005年

他の文献はこちらを参照。